出産後、子宮が元の状態に戻る過程で「悪露(おろ)」と呼ばれる出血や分泌物が排出されます。多くの人が経験するものですが、レバー状の大きな塊が混じると驚き、不安を感じることも少なくありません。悪露は通常の生理現象ですが、異常を示すサインが隠れている場合もあります。
この記事では、悪露の基本的な仕組みや経過、異常の見分け方、そして受診の目安について詳しく解説します。産後の体調変化を正しく理解し、安心して過ごせるように、ぜひ参考にしてください。
産後の悪露とは
出産後、子宮は元の状態へ戻ろうとする過程で、血液や分泌物を排出します。これが「悪露(おろ)」と呼ばれるものです。悪露は産後の体の回復を示す重要なサインですが、その量や状態には個人差があり、不安を感じる方も多いでしょう。
特に、出血が多い、レバー状の塊が出るなどの変化があると、正常なのか異常なのか判断に迷うこともあります。
ここでは、悪露の基本的な仕組みや産後の出血との違いを解説し、どのような変化が起こるのかを詳しく見ていきます。正しい知識を持つことで、安心して産後を過ごしましょう。
悪露の基本的な仕組み
出産後、子宮は妊娠前の状態に戻るために収縮し、その過程で不要になった子宮内膜や血液、分泌物を排出します。これが「悪露(おろ)」と呼ばれるものです。悪露は生理の出血に似ていますが、血液だけでなく胎盤の残りや粘液なども含まれているため、見た目や量に個人差があります。
通常、悪露は産後すぐに始まり、1か月から6週間ほどで自然におさまります。時間が経つにつれて色が変化し、最初は鮮血のような赤色ですが、徐々に褐色、黄色、最終的には白っぽい分泌物へと移行します。この変化は子宮の回復を示す重要なサインとなるため、悪露の状態を把握しておくことが大切です。
産後の出血と悪露の違い
産後の出血と悪露は混同されがちですが、明確な違いがあります。悪露は子宮の回復過程で自然に排出されるもので、時間とともに量が減り、色が薄くなっていきます。一方で、産後の異常出血は短時間で大量に出ることが多く、子宮の回復に問題がある場合や、血腫(けっしゅ)などの異常が原因となっていることもあります。
特に、産後数日経ってから急に鮮血が大量に出る、悪露の色が赤いまま長く続く、強いにおいがする場合は注意が必要です。これらの症状がある場合は、子宮内に胎盤の一部が残っている可能性や感染症のリスクがあるため、早めに産婦人科を受診しましょう。
産後、悪露に含まれるレバー状の大きい塊は危険?
産後の悪露には血液や子宮内膜の残りが含まれ、時にはレバー状の大きな塊が混じることがあります。ほとんどの場合、これは正常な生理現象ですが、大きさや頻度によっては異常のサインとなることもあります。
通常、産後数日間は悪露の量が多く、血液が子宮内で固まって塊となることがあります。特に長時間横になっていた後や、授乳時に子宮が収縮した際に排出されることが多いです。このような塊が一度や二度出る程度であれば、問題ないことがほとんどです。
しかし、以下のような場合は注意が必要です。
- 500円玉以上の大きな塊が繰り返し出る
- 悪露の量が急に増える
- 強い悪臭を伴う
- 出血が止まらず長時間続く
- 強い腹痛や発熱がある
これらの症状がある場合、子宮内に血液が異常にたまっている可能性や、感染症のリスクが考えられます。子宮復古不全(子宮の回復が遅れる状態)や、胎盤の一部が残っている場合もあるため、早めに産婦人科を受診しましょう。
一方で、特に異常がない場合でも、悪露の状態をこまめにチェックし、適切なセルフケアを行うことが大切です。お産用パッドを使用して悪露の量を把握し、無理のない範囲で体を休めるようにしましょう。もし少しでも不安を感じた場合は、産婦人科で相談することをおすすめします。
産後の悪露の経過と子宮回復の関係

出産後、子宮は元の状態へ戻ろうとし、その過程で「悪露(おろ)」が排出されます。悪露の量や色は時間とともに変化し、子宮の回復を知る指標となります。
分娩直後は鮮血が多く、数日経つと量が減り褐色に変化します。1〜2週間後には黄色っぽくなり、最終的に白っぽい分泌物へと移行します。ただし、個人差があり、大きな血の塊が続く場合は注意が必要です。
ここでは、悪露の一般的な経過と注意点について解説します。
分娩直後の悪露の状態
出産直後の悪露は、鮮やかな赤色で出血量も多いのが特徴です。この時期の悪露には、子宮内に残った血液や胎盤の一部、粘液が含まれており、生理よりも多い出血が続くことがあります。特に、産後数時間は子宮が収縮する際に強い出血を伴うこともありますが、これは正常な回復過程の一部です。
また、分娩直後は体を動かすことで一時的に悪露の量が増えたり、レバー状の塊が排出されたりすることがあります。これは、子宮内にたまった血液が固まり、それが動いた際に押し出されるためです。
ただし、大きな塊が頻繁に出る、出血量が減らない、急激に増えるといった異常が見られる場合は、産婦人科を受診しましょう。
産後2〜3日の悪露の特徴
産後2〜3日経つと、悪露の量は徐々に減り始めますが、まだ赤みを帯びた状態が続きます。この時期は「赤色悪露」と呼ばれ、血液と子宮の分泌物が混ざったものです。子宮の収縮が進むことで、悪露の色や量に変化が見られるようになります。
長時間寝ていた後や、授乳時にホルモンの影響で子宮が収縮すると、一時的に出血が増えることがあります。これは自然な現象ですが、500円玉以上の大きなレバー状の塊が何度も出る場合や、悪臭を伴う場合は注意が必要です。子宮内に血液がたまっていたり、感染の兆候であったりする可能性があるため、産婦人科に相談しましょう。
産後1〜2週間での変化と注意点
産後1週間を過ぎると、悪露は赤色から褐色に変化し、出血量もさらに減っていきます。この時期の悪露は「褐色悪露」と呼ばれ、子宮の回復が順調に進んでいる証拠です。
ただし、体を動かしすぎると一時的に悪露の量が増えることがあります。特に、産後の回復が不十分な状態で無理をすると、子宮に負担がかかり、出血が増える原因になります。できるだけ安静にし、悪露の状態をこまめにチェックしましょう。
この時期に、悪露が急に赤色に戻る、悪臭がする、強い腹痛を伴う場合は、子宮復古不全(子宮の回復が遅れる状態)や感染症の可能性があるため、受診の目安となります。
産後3〜6週間、悪露が消えるまでの流れ
産後3週間を過ぎると、悪露は黄色っぽくなり、最終的には白色へと変化していきます。この「黄色悪露」「白色悪露」の時期は、子宮の回復がほぼ完了し、分泌物の量も大幅に減少する段階です。
通常、産後4〜6週間で悪露は完全になくなりますが、個人差があり、6週間以上続く場合もあります。もしこの時期に悪露の量が減らず、赤色の出血が続くようなら、何らかの異常が考えられるため、産婦人科を受診しましょう。
また、悪露が完全になくなる頃に生理が再開することもあります。母乳育児をしている場合は、生理の再開が遅れることが多いですが、授乳していない場合は産後1〜2か月で生理が戻ることもあります。生理との違いが分からない場合は、医師に相談すると安心です。
悪露の塊と正常・異常の見分け方
産後の悪露には、血液や子宮内膜の残りが含まれ、時にはレバー状の塊が混じることがあります。これは子宮が回復する過程で起こる自然な現象ですが、塊の大きさや頻度によっては異常のサインである可能性もあります。
特に、大きな塊が繰り返し出る、出血が止まらない、悪臭がする場合は注意が必要です。こうした症状が見られる場合、子宮の回復が順調でない可能性があるため、適切な対応を取ることが大切です。
ここでは、悪露の塊が出る仕組みと一般的な状態、異常な悪露の特徴、色や量、匂いから判断する異常のサインについて詳しく解説します。産後の体調を正しく把握し、必要に応じて適切な対応ができるようにしましょう。
悪露の塊が出る仕組みと一般的な状態
産後の悪露には、血液や子宮内膜の残りが含まれており、レバー状の塊が混じることがあります。これは、出産後に子宮が回復する過程で自然に起こる現象です。
出産後、子宮は収縮を繰り返しながら、妊娠前の状態に戻ろうとします。その際、子宮内にたまった血液が固まり、塊となることがあります。特に、長時間横になっていた後や、授乳時にホルモンの影響で子宮の収縮が促された際に、大きな塊が排出されることがあります。
一般的に、産後数日間は500円玉程度の血の塊が出ることも珍しくありません。しかし、時間とともに悪露の量が減り、色が薄くなっていくのが通常の経過です。
異常な悪露の特徴と注意すべき症状
通常の悪露の塊とは異なり、以下のような特徴がある場合は、異常の可能性があります。
- 500円玉以上の大きな塊が繰り返し出る
一度だけでなく、何度も大きな血の塊が出る場合は、子宮の回復が遅れている可能性があります。 - 悪露の量が急に増える
通常、産後時間が経つにつれて悪露の量は減少します。しかし、突然出血量が増える場合は異常出血の可能性があるため注意が必要です。 - 強い腹痛や発熱を伴う
子宮内で感染が起こっている可能性があります。放置すると症状が悪化するため、すぐに医師に相談しましょう。 - 悪臭がする
正常な悪露には多少の鉄のようなにおいがありますが、腐敗臭がする場合は感染症の可能性があります。
悪露の色・量・匂いによる異常の判断基準
悪露の状態を確認することで、異常かどうかを判断できます。
判断基準 | 正常な状態 | 異常な状態 |
色の変化 | 産後すぐは赤色(赤色悪露)、1週間ほどで褐色(褐色悪露)、3週間後には黄色や白っぽい色に変化(白色悪露) | 産後2週間以上経っても赤色の出血が続く場合、子宮の回復が遅れている可能性あり |
量の変化 | 時間が経つにつれて徐々に減少 | 産後1週間以上経過後に突然出血が増える、または大量の血の塊が出る |
匂いの変化 | やや鉄っぽいにおいがする程度 | 強い悪臭がある場合、子宮内感染の可能性 |
この表を参考に、悪露の状態をチェックし、異常が疑われる場合は早めに産婦人科を受診しましょう。
受診の目安と産婦人科を受診すべきケース

産後の悪露は子宮の回復を示す大切な指標ですが、異常な症状が現れた場合は早めの受診が必要です。多くのママが「この状態は正常なのか?」「どのタイミングで受診すべきか?」と不安に感じることがあるでしょう。
悪露の量や色が通常と異なる場合や、強い腹痛を伴う場合、感染のリスクがあるため注意が必要です。特に、出血が止まらない、レバー状の大きな塊が頻繁に出る、悪臭がする場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。
ここでは、産後すぐに受診が必要な症状、悪露の異常を判断するための検査、受診前に確認しておくべきポイントについて詳しく解説します。産後の体調をしっかり把握し、適切に対処できるようにしておきましょう。
産後すぐに受診が必要な症状
通常、産後の悪露は子宮の回復とともに少しずつ減少しますが、異常な変化が見られた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。次のような症状がある場合は、注意が必要です。
- 繰り返し大きな血の塊が出る
一時的に血の塊が出るのは珍しくありませんが、何度も大きな塊が排出される場合は、子宮内に血液が過剰に溜まっている可能性があります。 - 出血量が急に増えたり、止まらない
時間とともに悪露の量は減るのが一般的です。しかし、突然出血が増えたり、ナプキンを短時間で交換しなければならないほどの大量出血が続く場合は異常と考えられます。 - 激しい下腹部痛や発熱がある
子宮内で炎症が起きている可能性があり、そのまま放置すると症状が悪化することがあります。 - 悪露から異常なにおいがする
多少の鉄っぽいにおいは正常ですが、強い悪臭を伴う場合は、細菌感染の恐れがあります。
これらの異常が見られた場合は、放置せずに速やかに医師へ相談しましょう。
悪露の異常が疑われるときの検査と診断
産後の悪露に異常が見られる場合、医師は以下のような検査を行うことがあります。
- 超音波検査(エコー)
子宮内に血液の塊や胎盤の残りがないかを確認するために行われます。 - 血液検査
感染症の有無や貧血の程度を調べるために行われます。 - 内診
子宮の収縮状態や異常な出血の有無を確認するために、医師が直接診察します。
必要に応じて薬の処方や、子宮内の処置を行うこともあります。早期発見・早期対応が重要です。
受診の前に確認すべきポイント
産婦人科を受診する前に、以下の点をチェックしておくと、スムーズに診察を受けられます。
- 悪露の状態を記録する
いつから異常を感じたのか、血の塊の大きさや回数、出血の量をメモしておくと診察時に役立ちます。 - 発熱や腹痛の有無を確認する
熱があるか、痛みがどの程度かをチェックし、医師に伝えましょう。 - ナプキンやお産用パッドの使用状況を把握する
どのくらいの頻度で交換しているかを記録しておくと、出血量の目安になります。
これらの情報をもとに、医師と相談しながら適切な対応を取りましょう。
悪露対策と産後のケアで安心を
産後の悪露は時間とともに減少し、子宮の回復とともに消失していきます。しかし、適切なケアを行わないと感染リスクが高まったり、回復が遅れる可能性があります。悪露が続く期間を快適に過ごすためには、お産用パッドの選び方や衛生管理、生活習慣の見直しが重要です。
ここでは、悪露対策に役立つお産用パッドの選び方、清潔を保つためのセルフケア、そして子宮回復を促す生活習慣について詳しく解説します。適切なケアを実践し、産後の体調をスムーズに整えましょう。
悪露対策に役立つお産用パッドの選び方
産後の悪露は約4〜6週間続くため、適切なお産用パッドを選ぶことで快適に過ごせます。出産直後は出血量が多いため、吸収力が高く、サイズが大きめのパッドを使用すると安心です。産後1〜2週間後には出血量が減るため、ナプキンタイプのパッドや夜用ナプキンに移行するとよいでしょう。また、通気性の良いものを選ぶとムレを防ぎ、清潔な状態を保ちやすくなります。
交換頻度の目安は、産後数日は2〜3時間ごと、その後は4〜6時間ごとが推奨されます。こまめに交換し、不衛生な状態を防ぐことが重要です。悪露の量や状態を観察しやすいように、白色のパッドを選ぶのもおすすめです。
清潔を保つためのセルフケア方法
産後は免疫力が低下しているため、感染を防ぐためにもデリケートゾーンを清潔に保つことが大切です。トイレのたびに前から後ろへ拭くようにし、シャワーや温水洗浄便座を利用して優しく洗い流しましょう。
また、下着やパッドの長時間使用はムレや雑菌の繁殖につながるため、通気性の良い下着を選び、こまめに交換することが大切です。できるだけ締め付けの少ない産後用ショーツを使用すると、快適に過ごせます。
悪露の状態を観察することも、健康管理の一環です。異常な色や臭いがないか、急に出血量が増えていないかを定期的にチェックし、気になる症状がある場合は早めに医師に相談しましょう。
産後の子宮回復を促す生活習慣と注意点
子宮の回復をスムーズに進めるためには、無理をせず、十分な休息を取ることが重要です。特に産後1ヶ月は体力が回復しきっていないため、家族や周囲のサポートを受けながら、できるだけ横になる時間を増やしましょう。
適度な運動も回復を助けます。産後1〜2週間後から軽いストレッチや深呼吸を取り入れ、体を徐々に慣らすと、血行が良くなり子宮の回復が促されます。ただし、無理な運動は逆効果となるため、痛みがある場合は無理をせず、医師に相談してください。
食事面では、鉄分やたんぱく質を意識して摂取し、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。特に鉄分不足は貧血を引き起こしやすく、回復を遅らせるため、レバーやほうれん草、豆類などを積極的に取り入れるのがポイントです。
これらの対策を実践することで、悪露の期間を快適に過ごし、産後の体調を整えることができます。
まとめ
産後の悪露は、子宮が回復する過程で起こる自然な現象ですが、大きなレバー状の塊が頻繁に出たり、出血が急に増えたりする場合は注意が必要です。特に、500円玉以上の血の塊が繰り返し出る、悪露の色が長期間赤いままである、または強い腹痛や発熱を伴う場合は、子宮の回復が遅れている可能性があり、産婦人科での診察が推奨されます。
悪露の状態を適切に管理するためには、お産用パッドを活用し、清潔な状態を維持することが重要です。また、栄養バランスの取れた食事を心がけ、無理のない範囲で軽い運動を取り入れることで、子宮の回復を促すことができます。
万が一、異常が疑われる場合は、迷わず医師に相談することが大切です。産後の体調変化に不安がある方は、専門家のアドバイスを受けながら、安心して育児に向き合える環境を整えましょう。