「産後ケアを申し込んだけど、定員オーバーで断られた…」「サポートを受けたくても、地域に制度がない…」そんな不安や孤独を感じているママも少なくありません。産後は心も体も繊細な時期だからこそ、本当は誰かの助けが必要です。
この記事では、産後ケアを断られたときに頼れる支援先や、今すぐ自分でできる小さなケア方法を紹介します。ひとりで抱え込まないための「次の一歩」を、一緒に見つけていきましょう。
産後ケアを断られた理由

「産後ケアを利用したかったのに断られてしまった」という声は、決して珍しいものではありません。実際には制度が整っていない地域や、利用までのハードルが高いケースも多く、仕組み自体に課題があるのが現状です。ここでは、よくある3つの理由を見ていきましょう。
費用の自己負担が大きいケース
自治体によっては産後ケアに対して助成制度が設けられているものの、その多くは全額補助ではなく、一部自己負担が必要となるのが現状です。そのため、経済的な理由から「本当は利用したいのに断念せざるを得ない」というママも少なくありません。
実際には、1回あたり数千円から1万円程度の費用がかかるケースもあり、利用回数が増えるほど家計への負担も大きくなっていきます。また、「無料で利用できる」と聞いていたのに、実際は助成の対象外だったというケースもあり、戸惑いや落胆の声も見受けられます。
特に、産後は育休や退職により収入が減っている家庭も多く、必要なケアであるにもかかわらず、「使いたくても使えない」という厳しい現実に直面することも。費用面での不安が原因で、心と体のケアを我慢してしまうことは、本末転倒ともいえる大きな課題です。
こうした声がもっと届き、必要なサポートが誰にでも行き届く社会の仕組みが広がっていくことが望まれます。
地域によって施設や枠数が少ない
産後ケアの提供体制には、自治体や医療機関ごとに大きな差があります。特に地方部では、対応できる施設自体が少なく、予約もすぐに埋まってしまうという状況が珍しくありません。
たとえば、そもそも近くに産後ケアを実施している施設がなく、車などの交通手段も確保できないケース。あるいは、1日に数組しか受け入れられないなど、利用枠が非常に限られているケースもあります。また、看護師や助産師といった支援スタッフの人手が不足している地域では、制度があっても十分なサービスを提供できないという現実があります。
こうした状況から、「制度としては存在しているのに、実際には利用できない」と感じているママが多く、制度と現実のギャップが深刻な課題として浮き彫りになっています。特に、都市部と地方の間でのサービス格差は大きく、産後ケアの支援がどこに住んでいても等しく受けられる体制づくりが、今後の重要な課題といえるでしょう。
申請方法が分かりづらくタイミングもシビア
産後ケアを受けるには、実は妊娠中や母子手帳の交付時点で申請が必要なケースもあり、「産後になって初めて知ったけれど、すでに申請期限を過ぎていた」という声が多く聞かれます。
その一因として、自治体からの案内が分かりにくく、制度の存在自体が十分に周知されていないことが挙げられます。また、利用には書類の提出や面談などの手間がかかることも多く、加えて「産後〇日以内でなければ利用できない」といった厳しい利用条件が設けられていることも少なくありません。
しかし、出産直後は心も体も大きな変化にさらされており、複雑な手続きをこなすだけでも大きな負担になります。本来ママを支えるための制度であるはずなのに、その制度が「知っていた人だけのもの」「余裕のある人しか使えないもの」になってしまっていては、本末転倒です。
制度があるだけでは不十分で、ママ自身が安心して、スムーズに利用できる環境や仕組みが整ってこそ、真の意味での支援といえます。出産前からの丁寧な情報提供と、手続きをシンプルにする工夫が今後ますます求められています。
対象条件に合わないケースが多い
産後ケア制度は、すべてのママが自由に利用できるわけではありません。多くの自治体では、利用条件が細かく定められており、その条件に当てはまらないことで支援を受けられないママも少なくないのが現実です。
たとえば、制度の対象が初産婦のみに限定されており、すでに出産経験のある経産婦は申し込みができないケース。また、住民票がある自治体でしか申請できないという制約があり、里帰り出産などの場合には利用が難しくなることもあります。さらに、「心身の不調が明らか」と判断されなければ非該当となるケースもあり、主観的にはつらくても制度の対象と認められないこともあるのです。
こうした制度上の制限によって、「本当に困っているのに支援が受けられない」という事態が起きており、なかには「自分はきっと対象外だ」と思い込んで、最初から相談すら諦めてしまうママも出てきます。
制度があるから安心、というだけでは不十分で、本当に必要としている人が適切にアクセスできる柔軟で包摂的な支援体制の整備が、今後ますます求められています。
パパや家族の理解不足が壁になる
産後ケアを受けられない理由は、制度の制約だけに限りません。中には、家族の無理解が壁となってしまっているケースも少なくありません。特にパートナーが「大げさなんじゃない?」「手伝うから必要ないでしょ」と軽く受け止めてしまうと、ママはその時点で相談することすらためらってしまいます。
たとえば、「甘えているだけ」と受け取られたり、「お金がかかるなら我慢して」と家計への負担を理由に却下されたり。ママ自身がどれほど必要性を訴えても、「本当に必要なのか?」と理解してもらえないこともあります。
しかし、産後は心身ともに非常にデリケートで、不安定になりやすい時期です。「休むこと=育児放棄」ではなく、「自分をケアすることも育児の一部」であるという意識を、家族全体で共有することが何よりも大切です。
ママが安心して支援を受けられる環境をつくるためには、制度だけでなく、身近な人たちの理解と支えが欠かせません。まずは「ママの気持ちに寄り添うこと」から始めていきましょう。
里帰り出産だと対象外になりやすい
多くのママが選択する「里帰り出産」ですが、実はこれが産後ケアの対象外となってしまう自治体も少なくありません。これは、住民票や住所地を基準に制度が運用されているためです。
- 実家の地域では申請できない
- 一時的な住所変更が認められない
- 「家族が近くにいるから不要」と判断されることも
一見サポート体制が整っているように見えても、実際にはママ自身が孤立してしまうケースもあります。制度の隙間に取り残されやすいのが、里帰り出産の落とし穴です。
民間サービスの選択肢に気づかない
自治体の制度が使えなかった場合、代替手段としての民間サービスが存在しますが、「そもそもそんな選択肢があることを知らなかった」というママも非常に多いです。
- 産後ケア専門の訪問看護・助産師派遣サービス
- 産後専門のピラティスや整体などの体調サポート
- オンラインのカウンセリング・育児相談窓口
これらは自費になることが多いものの、今すぐ使えて、心身の負担を軽くしてくれる強い味方です。「制度が使えなかったから終わり」ではなく、自分に合ったケア方法を探す視点を持つことが大切です。
なぜ産後ケアの利用率が低いのか
「産後ケア制度があっても、実際に使った」というママはごく一部。全国的に見ても制度の利用率は決して高くありません。その背景には、制度そのものの認知不足や、申請のハードルの高さ、相談しにくい空気感など、複数の要因が存在します。
制度の存在を知らない人が多い
産後ケア制度があること自体を「知らなかった」というママは意外にも多くいます。その背景には、妊娠中や出産直後の慌ただしい時期に、制度の説明を受ける機会や余裕がないという現実があります。
たとえば、母子手帳の交付時に制度についての説明がなかったり、出産後に市役所から案内が届かず、その存在を知らないまま時間が過ぎてしまうこともあります。また、いざ自分で調べようとしても、自治体のウェブサイトで情報が見つけづらく、結局よくわからないまま諦めてしまうというケースも少なくありません。
制度があっても、ママ自身がその情報にたどり着けなければ、支援を受けることはできません。実際に、「気づいたときには申請期間が過ぎていた」「知らないうちに利用の対象外になっていた」という声も多く聞かれます。
本当に必要な人に情報が届く仕組みづくりこそが、産後ケア制度の意義を活かすために欠かせません。制度の存在だけでなく、その周知の方法にも目を向けていくことが、これからの課題といえるでしょう。
自治体ごとに条件や費用が異なる
産後ケアは、全国一律の制度ではなく、自治体ごとに利用条件や助成の内容、提供されるサービスの種類に大きな違いがあります。そのため、他の地域と比べて「なぜうちは使えないの?」と、不公平感を抱くママも少なくありません。
たとえば、利用対象を初産婦のみに限定している地域がある一方で、経産婦も利用できる地域もあります。また、自費負担額が1日あたり数千円以上かかるケースもあり、経済的なハードルが高くなることも。さらに、訪問型しか対応していない、または施設型しか選べないなど、提供方法が限られていることで、ママのニーズに合わないという問題も起きています。
このように、制度の違いは利用のしやすさを大きく左右し、結果として地域による格差が生まれています。住んでいる場所によって支援の手が届くかどうかが変わってしまう現状は、見過ごしてはならない課題です。
誰もが平等に必要なケアを受けられる社会を目指すためには、地域ごとの制度の違いや格差に目を向け、全国的な支援の整備と周知の見直しが求められています。
申請手続きの周知が不十分
「申請が面倒そう」「どう申し込んだらいいかわからない」と感じて、結局利用を諦めてしまうケースも多く見られます。特に出産直後のママにとって、複雑な手続きは大きな負担です。
- 書類提出や面談が必要な自治体も
- 申請期限が早く、出産後には間に合わない
- 担当窓口が複数にまたがっていて混乱する
制度を利用しやすくするには、「申請のしやすさ」が非常に重要。サポートを受けるための“入口”がわかりやすく整備されていることが求められています。
育児の孤立感が相談を妨げる
産後のママは、自分の気持ちや体の変化を誰にも話せず、「こんなこと相談してもいいのかな?」と悩んでしまうことが多いです。その結果、制度があることを知っていても、利用に踏み切れないケースがあります。
- 身近に相談できる人がいない
- 周囲に頼るのが申し訳ないと感じる
- 「自分よりもっと大変な人がいる」と我慢してしまう
こうした気持ちが積み重なると、ケアが必要なサインを見逃してしまうことも。ママがもっと気軽に相談できる環境づくりが欠かせません。
制度を使えなかった時に知っておきたい民間の産後ケア
もし制度が使えなかったとしても、支援を受ける手段は他にもあります。近年は、民間の産後ケアサービスが多様化しており、自分に合ったサポートを自由に選べる時代になっています。制度に頼れないときこそ、民間の選択肢に目を向けてみましょう。
民間の産後ケアサービスとは
民間の産後ケアは、助産師や看護師、ボディケア専門家などが提供する有料サービスで、育児や体調に不安を抱えるママをサポートするための仕組みです。
- 自宅に来てくれる訪問型の育児・授乳サポート
- 骨盤ケアやストレッチを含むマッサージ・整体
- 食事提供付きの産後ケア施設への宿泊滞在プラン
自治体の制度と比べて自由度が高く、個別対応や内容の充実度で選べるのが大きな魅力です。
費用感と利用のしやすさを比較
民間サービスは自費となるため、金額面で不安を感じる人もいますが、内容に応じた価値を見極めることが大切です。時間単位・1日単位・プログラム単位など、提供スタイルもさまざまです。
サービス内容 | 費用の目安 |
訪問型ケア | 約5,000〜10,000円/回 |
産後ケア施設の宿泊 | 1泊 約20,000円前後 |
オンライン相談サービス | 30分〜1時間で 約3,000円程度 |
費用は高めでも、「安心できる時間を買う」ことが目的と考えると納得できるケースも多いです。比較検討しながら、自分に合ったバランスを探しましょう。
自治体と連携しているサービスの探し方
産後ケアの支援は、公的な制度だけに限らず、民間サービスの中にも頼れる選択肢があります。中には、自治体と連携して助成の対象となっていたり、紹介制度が用意されているケースもあり、全額自費ではなく、費用負担を軽くする工夫も可能です。
たとえば、自治体のホームページに掲載されている「民間連携サービス一覧」を確認することで、助成対象となるサービスが見つかるかもしれません。また、地域の助産院やクリニックに相談すれば、信頼できるサービスを紹介してもらえることもあります。さらに、子育て支援センターに問い合わせてみるのもひとつの手です。
「制度に該当しなかったから、もう支援は受けられない」と思ってしまうママも多いですが、そんなことはありません。民間サービスも、ママを支える立派な選択肢のひとつです。制度に縛られず、自分に合ったサポートを見つけることが、産後の安心と回復への大切な一歩になります。
ママとパパが今すぐできる対処法と相談先まとめ

「産後ケアが受けられなかった」と感じても、サポートを受ける方法はまだあります。大切なのは、あきらめずに“今できる行動”を知ること。ママ自身が少しでも安心できるように、そしてパパも支える存在としてできることを確認していきましょう。
まずは自治体の保健師に相談する
産後の不安や悩みを感じたとき、一番身近で頼れる相談窓口は、市区町村の保健師や子育て担当課です。「制度を使えなかった」「申し込めなかった」と率直に伝えることで、代替の支援策や、追加枠の案内を受けられることもあります。
相談は、わざわざ訪問しなくても電話一本で大丈夫です。再申請が可能なケースや、キャンセル待ちの情報を教えてもらえる場合もありますし、何より「不安な気持ちそのものを受け止めてもらえる」という安心感があります。
制度の具体的な内容だけでなく、自分の気持ちを整理するうえでも、誰かに話を聞いてもらうことは大きな支えになります。ひとりで悩みを抱え込まず、「ちょっと話を聞いてほしい」と、一言でも声をかけてみてください。それだけで、心がふっと軽くなるかもしれません。
地域のNPOや子育て支援センターを活用する
行政の制度以外にも、地域にはママを支える民間の子育て支援団体やNPOが多く存在しています。こうした団体では、無料の相談窓口や育児サロン、交流会などを通じて、ママ同士の情報交換や孤独感の軽減につながるサポートを提供しています。
たとえば、地域の子育て支援センターでは、こうした民間団体の活動情報をまとめて紹介してくれることがあり、気軽に情報収集が可能です。また、NPO法人が主催する産後ママ向けのケア講座やリフレッシュイベントに参加することで、同じ立場の仲間とつながることもできます。
最近では、外出が難しい方のために、オンライン相談やZoomでの面談を行う団体も増えてきており、自宅にいながら気軽に支援を受けられる環境も整いつつあります。
「制度が使えないから終わり」ではなく、制度に頼らずとも頼れる場所は確かに存在しています。「家の外に出るのがつらい」と感じる日でも、まずはネットやパンフレットで情報を目にするだけでも、心を向ける第一歩になります。自分に合ったサポートを見つけることで、少しずつ心に余裕が生まれていくはずです。
パパができる行動と理解を深めるポイント
産後ケア制度についてパパがよく知らないままだと、「そんなの本当に必要なの?」といった反応になってしまうこともあります。しかし、産後のママの心と体にどんな変化が起きているのかを正しく理解すれば、パパはママにとって大きな支えとなれる存在です。
まずは、産後に起こるホルモンバランスの変化や体調の不安定さについて学ぶことから始めましょう。そして、家事や育児を「手伝う」のではなく、「一緒にやるもの」として主体的に関わる姿勢を持つことが大切です。
また、「大丈夫?」と漠然と聞くよりも、「今日は何がしんどかった?」と具体的に問いかけることで、ママは自分の気持ちを安心して話すことができるようになります。そんなひと言が、ママにとって何よりの心の支えになります。
産後の大変な時期を二人で乗り越えていくために、パパにできることはたくさんあります。少しずつでも、理解と行動を積み重ねていくことが、ママの笑顔と家族の安心につながっていきます。
申請のやり直しや再検討のコツ
制度を一度断られたとしても、状況が変われば再申請が可能なケースもあります。再び申し込むときは、タイミングや相談の仕方に工夫を加えることがカギです。
- 保健師と連携して「現在の困りごと」を明確に伝える
- キャンセル待ちや空き枠の情報を定期的に確認
- 他市町村との連携制度が使えるケースも要チェック
「一度ダメだったから…」とあきらめず、状況を整理して再度チャレンジすることが大切。必要な支援を受けるための動き方を、周囲のサポートも借りながら見直してみましょう。
ぶどうの木の頼れる産後ケアとは?
「自治体の制度が使えなかった」
「もっと自分のペースでケアを受けたい」
そんなママにおすすめなのが、ぶどうの木が提供する産後ケアホテルです。専門スタッフのもとで、心と体を安心して休められる環境が整っています。
産後ケアホテルでは、以下のようなサービスを提供しています:
- 助産師・看護師による母体ケアと授乳サポート
- 栄養バランスのとれた食事と快適な個室空間
- 赤ちゃんのお世話を一時的にスタッフに任せられる休息体制
- 骨盤ケアやマッサージ、心身のリラックスプログラム付き
「誰かに頼ってもいい」「ひと息ついてもいい」と心から思える時間が、ここにはあります。利用は【要予約制】ですが、ママの回復と笑顔のために、多くの方が「行ってよかった」と実感しています。

まとめ
産後ケアを断られたとき、「もう頼れる場所がない」と感じてしまうママは少なくありません。でも、支援の選択肢はひとつではありません。自治体の保健師や地域の子育て支援センター、民間のケアサービスなど、あなたを支えてくれる場所は必ずあります。
そして何より大切なのは、「助けを求めていい」と自分に許可を出すこと。今すぐできる小さな行動が、心と体を軽くする第一歩になります。ひとりで抱え込まず、安心できる方法を一緒に見つけていきましょう。